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第6話 震災がさらった大正ロマン

時の流れに変化しながらも守り続けられるもの

大正十二年九月一日。その日もいつものように正午を告げる空砲がどーんと鳴って、昼食を求める人で賑わうはずであった。突然、史上最大の激震が関東一円を襲ったのである。東京は三日間燃え続け、カフェーパウリスタの美しい洋館もまた、瓦礫と化してしまうのである。
この関東大震災は、規模を大きくしすぎた反動と折からの不況のために経営が深刻化している矢先の大きな痛手となり、カフェーパウリスタも変身を余儀なくされてしまう。加えてまもなく、ブラジル政府からのコーヒー無償供与の期限が切れ、ブラジルコーヒー普及宣伝の任務も完了したのである。


その後は残された資産で焙煎卸業を中心に復帰、第二次世界大戦中に当局の指令で社名を今日の日東珈琲と改称したのちも、水野氏の理想を脈々と守り続けている。その苦しい復興期で尽力し社長として事業を継いだのは、現会長・長谷川浩一氏の父君・長谷川主計氏である。


現在、銀座のカフエーパウリスタは八丁目のビルの一階にある。静かな店内は、老舗の店主や買物帰りのミセスたちの憩いの空間だ。銀座を愛する人が訪れるとき、ドアのガラスに印された星の中の女王が、八十年前と変わらぬ微笑みで迎えてくれるはずである。


投稿者 有機コーヒー通販・無農薬コーヒー通販の『森のコーヒー』公式サイト :2007年12月20日

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